車に積んでいる Android ボックス(Ottocast P3 Pro)は、これまでスマホのテザリングでネットに繋いでいた。動くには動くのだが、乗るたびにスマホのアクセスポイントを有効にしないといけない。これが地味に面倒で、忘れる。
本体には nanoSIM のスロットがあるので、物理 SIM を挿してしまえばその手間は消える。ただし povo 2.0 の SIM は、挿しただけでは通信できなかった。APN を手で書く必要がある。
結論から書くと、設定するのは名前・APN・APN プロトコルの 3 つだけで、あとは保存して一覧で選ぶだけ。再起動も要らなかった。以下、なぜ povo にしたかと、その手順。
なぜテザリングをやめたか
Ottocast P3 Pro をネットに繋ぐ方法は 3 つある。
- スマホのテザリング。追加費用はゼロ。ただし乗るたびにスマホ側でアクセスポイントを有効にする必要がある
- Ottocast のクラウド SIM。本体に内蔵された仕組みで、アプリからデータを買う。物理 SIM も契約も要らない1
- 物理 SIM。好きなキャリアの SIM を挿す
graph LR O["Ottocast P3 Pro"] -->|"テザリング"| S["スマホ<br>乗るたびに手で ON にする"] O -->|"本体に内蔵"| K["クラウド SIM<br>アプリでデータを買う"] O -->|"nanoSIM スロット"| P["物理 SIM<br>挿しっぱなしで済む"] S --> N["インターネット"] K --> N P --> N
違いは「乗るたびに何かするかどうか」。この記事で選んだのは一番下の物理 SIM
テザリングの何が嫌かというと、繋ぐ操作が「乗る前の儀式」になること。エンジンをかけて、スマホを出して、テザリングをオンにして、ようやく地図が動く。一度でも忘れると、走り出してから気づいて路肩に寄せることになる。
物理 SIM なら、エンジンをかければ勝手に繋がる。それだけの話なのだが、毎回のことなので大きい。
なぜ povo 2.0 か
クラウド SIM は試していないので、通信品質の比較はできない。povo を選んだのは次の理由から。
プランが豊富で、使い方が変わっても料金体系を選び直せる。 povo 2.0 は基本料 0 円で、必要な分だけ「トッピング」を買う方式2。1 日単位・1 か月単位・1 年単位のデータが並んでいて、車でどれだけ使うか読めない段階でも、とりあえず小さく始められる。
KDDI(au)の回線なので、山道や地方でも繋がりそうだと思った。 これは期待であって、まだ検証していない。
ローソンでデータがもらえる。 povo Data Oasis という仕組みで、ローソンの店内で povo アプリを操作すると 0.1GB が無料でチャージされる。月 10 回まで、合計 1GB3。車でコンビニに寄ることは多いので、車載 SIM との相性がいい。もらったデータの有効期限は 24 時間なので、貯めておく使い方はできない。
クラウド SIM の 120GB は使い切らない。 クラウド SIM で 1 年ものは 120GB の 1 種類しかなく、しかも月 10GB ずつの分割付与4。地図と音楽程度の用途で月 10GB は余る。年 12GB で足りそうな自分には、povo の小さいトッピングのほうが合っていた。
音声通話もついてくる。 povo 2.0 の物理 SIM は通話+データのプランで、データ専用は eSIM のみ2。通話料は 22 円/30 秒。車載 Android から電話をかけることは今のところ無いが、やろうと思えばできるはず。試してはいない。
eSIM は使えない(はず)。 Ottocast P3 Pro の公式仕様にあるのは nanoSIM スロットとクラウド SIM で、eSIM の記載は無い5。海外の製品ページや販売ページで「eSIM 内蔵」と書かれているのは Ottocast 自身のクラウド SIM のことで、自分のキャリアの eSIM プロファイルを入れられるとは書かれていない6。povo のデータ専用プランは eSIM 限定なので、P3 Pro では通話+データの物理 SIM を選ぶことになる。
料金の裏取り
「povo のほうが安い」という感覚があったので、数字で確かめた。
自分が買ったのは データ追加 12GB(365 日間) で、2026 年 8 月に 5,800 円だった7。この記事を書いている 2026 年 9 月時点では 6,240 円に上がっている8。期間限定で、販売期間が飛び飛びに設定されるトッピングなので、買うなら販売期間を確認する必要がある。
Ottocast のクラウド SIM は公式ストアに 4 プランある4。価格はセール表示のもので、括弧内が通常価格。
| 選択肢 | 容量 | 期間 | 価格(税込) | 1GB あたり |
|---|---|---|---|---|
| povo 2.0 データ追加 12GB | 12GB | 365 日 | 5,800 円(購入時)/6,240 円(2026 年 9 月) | 約 483〜520 円 |
| povo 2.0 データ追加 120GB | 120GB | 365 日 | 21,600 円9 | 180 円 |
| Ottocast クラウド SIM 10GB | 10GB | 30 日 | 1,250 円(1,500 円) | 125 円 |
| Ottocast クラウド SIM 30GB | 30GB | 90 日 | 3,500 円(4,500 円) | 約 117 円 |
| Ottocast クラウド SIM 60GB | 60GB | 180 日 | 6,900 円(9,000 円) | 115 円 |
| Ottocast クラウド SIM 120GB | 120GB | 365 日 | 13,680 円(18,000 円) | 114 円 |
同じ容量で比べれば、クラウド SIM のほうが安い。 1GB あたりの単価は povo の 120GB で 180 円、クラウド SIM は 4 プランとも 115〜125 円で並んでいる。
年間の絶対額で見ると逆転する。 クラウド SIM で 1 年もたせるには 120GB の 13,680 円を買うしかなく、10GB/30 日を 12 回買えば 15,000 円になる。povo の 12GB は 6,240 円なので、半分以下で済む。
つまり「povo のほうが安い」は、あまり使わない前提でだけ正しい。地図とたまの音楽程度なら 12GB で足りると思って選んだが、実際に足りるかはこれから 1 年かけて確かめる。
APN の設定手順
povo 2.0 の SIM を挿しても、Ottocast P3 Pro は APN を自動で設定してくれなかった。アンテナは立つが通信できない、という状態になる。
設定アプリから次の順にたどる。
設定 → ネットワークと接続 → モバイルネットワーク → アクセスポイント名 → +(新規追加)
「アクセスポイントの編集」画面が開くので、3 項目だけ埋める。
- 名前:
povo2.0(何でもよい。一覧に表示される名前) - APN:
povo.jp - APN プロトコル:
IPv4/IPv6
名前と APN を入れたところ。プロキシ以下は触らない
下のほうにある APN プロトコルを IPv4/IPv6 にする。APN タイプは未設定のままで繋がった
ユーザー名・パスワード・認証タイプ・APN タイプなど、他の欄は空欄のまま。
保存は右上の ⋮(3 点)メニューから「保存」を選ぶ。 戻る矢印で画面を抜けると入力が捨てられる。保存ボタンが見当たらなくて一度やり直した。
保存したら APN の一覧に戻り、povo2.0 の右側のラジオボタンが選ばれていることを確認する。APN が 1 件だけなら最初から選ばれていた。他の APN が既にある場合はここで povo2.0 を選ぶ。
一覧に povo2.0 が選ばれた状態で並べば完了。再起動は不要だった
この時点で通信が始まった。再起動は要らなかった。
気をつけること
- povo 2.0 は 180 日以上有料トッピングの購入が無いと利用停止になることがある2。365 日のトッピングを買っておけばその間は問題ないが、切れたあとに放置すると止まる
- Data Oasis のデータは 24 時間で消える3。ローソンに寄った日に使う分、と割り切る
- 12GB が 1 年もつかは分からない。車で何にどれだけ使うかを、これから見ていく
- eSIM 前提の契約はしない。P3 Pro に eSIM プロファイルを入れる手段は公式に案内されていない5。povo なら物理 SIM の通話+データプランを選ぶ
まとめ
Ottocast P3 Pro に povo 2.0 の物理 SIM を挿すと、APN を手で書かない限り通信できない。書くのは名前・APN・APN プロトコルの 3 つで、保存後に一覧で選ぶ。再起動は不要。
povo にした理由は、基本料 0 円で年単位のトッピングが選べること、au 回線であること、ローソンで少しずつデータがもらえること。ただし同じ容量ならクラウド SIM のほうが安く、povo が得なのは 1 年で 12GB 程度しか使わない場合に限る。1 年後に 12GB で足りたかどうかを、また書く。
クラウドSIM | OTTOCAST 公式。物理 SIM も会員登録も不要、初回は 10GB が 1 割引と案内されている。 ↩︎
基本料0円のスマホプラン povo2.0。通話 22 円/30 秒、データ専用は eSIM のみ、180 日以上有料トッピングが無いと利用停止の場合あり。 ↩︎ ↩︎ ↩︎
povo Data Oasis 開始 | KDDI ニュースルーム。1 回 0.1GB(24 時間)、月 10 回まで。対象店舗は povo Data Oasis を参照。 ↩︎ ↩︎
クラウドSIMカード | OTTOCAST 公式ストア。2026 年 9 月 5 日時点の 4 プランの価格。120GB は「12ヶ月間にわたり、1ヶ月あたり10GBずつ分割して付与」と記載。対象モデルは P3Pro、P3、E2。 ↩︎ ↩︎
OTTOAIBOX P3 Pro | OTTOCAST 公式。nanoSIM 対応と CloudSIM 3.0 の記載があり、eSIM の記載は無い。 ↩︎ ↩︎
Ottocast eSIM Technology Car Connectivity Solution。「eSIM」の名で案内されているのはクラウド SIM で、利用者が eSIM プロファイルを追加できるとは書かれていない。 ↩︎
データ追加12GB(365日間) | povo2.0。2026 年 9 月 5 日時点で税込 6,240 円。 ↩︎